大事にしたいこと

あるご縁から、とてもとても美味しい食べ物と出逢い、ぜひお取引したい。と連絡を取り始めた。
まず問い合わせフォームやメールで連絡をして、電話なりで話をするという流れが多いのだが、今回一向にメールの返事が帰ってこない。
ある程度待ってみて電話を掛けてみると、電話口の女性の方は「連絡をいただいていた〇〇さんですね」と把握して下さっていた。担当の方から電話で既に連絡をもらっていたようだが行き違いになっていたよう。こちらからまた掛ける旨を伝え電話を切る。

そこから2日間、また行き違いになる。

そしてやっとお話ができた4月18日。朝から雨でひんやりとしていた日。
話してみると、電話口の担当の方、、なんと86歳。
簡単な挨拶の後、「今読書にはまっていてねっ・・」となんともキュートな口調でお話が始まる。
そこから一時間半程度、子育ての話から今に至るまでの歴史をたくさんシェアしてくださった。

途中、泣きそうになるほどに、じんとしたり、感心したり。
なんて貴重な話を聞いているのだろうと、途中で話を途切らせたくなくて、
雨なのを良いことに店の看板をCLOSEDに変えて夢中で話を聞いていた。

今どき、なんだって簡単に繋がって、物事を進めて行ける。
電話や対面だとしても、(対面では流石にあまりないか)簡単に取引の内容だけを聞いて、ぽんぽんと機械的に進められたり、今や会員登録で取引ができる会社すらもある。それが何の面倒もなく、ドライに感情を入れずに、好都合だと思う時だってある。

でも今回、対面はまだ出来ていないにも関わらず、夢中で長電話をして、その方の生きてきた歴史や、思い、考えを聞く機会をいただいてなんだか感動した。

その方が守ってきたその商品をきっと来月にはお店に揃えられるだろう。
多くの人に知ってもらいたい、と思う一方、新商品が入りました〜のような方法ではSNSに載せられない。なぜそう思うのだろう。

遠方にお住まいで、来れないという方は除いて、SNSは実際にお店に普段来てくださっている方以外の人も多く見て下さっていると思う。それが悪いのではなくて、ただ、イチ情報としてさら〜っと流れていってしまうものにしたくないと思った。SNSの性格を理解して上手に活用するのは良い。タイムリーな情報発信にはとても向いているから、イベントやシーズン商品の紹介などをすればちょうど探している方の元に情報が届く。

私は元々商品紹介をインスタグラムで行おうとすると、書きたいことが多すぎて言葉がまとまらないのでお店で紹介できればいいや、と思いあまり積極的にしていないのだけど、現実的にはしていった方が今の時代にはフィットしていると思う。そのようなことも言われて、少しやり始めたが、やはり、インスタグラムがどうこう、ではなくてそれだけでは自分の思う情報の適切な届け方ではないように思う。


強い思いを持って守られて来ている商品、私自身も愛着を持って選んでいる商品。その想いをきちんとした方法で伝える、情報の届け方をする必要がある。当たり前だけど、お店でお会いするお客様に直接商品を紹介できるのが一番。だけど他にどんな伝え方があるだろう。

SNSも上手に使えると良い。
でももっともっと考えないといけない。