杉本園さん訪問②

訪問記の続き。

日本の原風景のような茶畑に到着して、その場を見れば、感じれば、ここの”気”が良い事は説明を受けずとも明らかだと感じる程に気持ちの良い場所だった。そこで聞いたたくさんのお話の中で、目から鱗が落ちたこと、感動した言葉をここで紹介したいと思う。

まず、杉本さんは前回書いた通りに子供の頃から化学的な薬を畑で使うことに抵抗があった。
だから、自分が手伝いをする代になってから、まずは有機栽培に変えていく為に色々なやり方を試してみたそう。その長い年月の中で、自然栽培に転換していく事になるきっかけが、虫だった。

ある年、たくさんのシャクトリムシがお茶の木に付いて、葉っぱを食い荒らしてしまった。
ただその年は大干ばつに見舞われて、葉っぱがなかったことで茶の木の水分の蒸散が防げたそうだ。その時、杉本さんは虫のお陰で木が守られた、虫への見方が変わった。と仰った。

茶畑に行ったことがある方は分かるかもしれないが、よくある茶畑では、パウンドケーキのような形に整えられた茶の木の畝が見た目には10cmもない位の間隔でたくさん並んでいる。その点が、杉本園さんの畑は全く異なる。畝間が1m以上開いているのだ。
そのことが、風が通り抜ける畑だと感じる一番の理由だと思う。

なぜそのように畝間を広げたかというと、茶の木は上に向かって伸びるのと同時に、横にも広がりながら成長する。横に広がった枝からまた根が伸びて、、という具合に広がっていく。

広がりすぎて葉っぱが密集すると風通しが悪くなるからなのか、枝や葉っぱが弱り、そこに虫がつきやすいそうだ。虫たちは元気な葉っぱではなく弱っている部分を食べる。それは、植物にとっても良いことをしようとしているのではないかと考えた。そこで、杉本さんは思い切って横に広がった枝を切り落としてみたところ、それ以降虫はつかなくなったのだと。

続く。