杉本園さん訪問③

続きです。
そんなことで虫に気づきを得た杉本さん。畝間を広げるために草刈りをする、その時に出る雑草を緑肥として与えてみよう。それだけで良いのでは?という境地に至ったそう。
色々なことを経験して、自然に向き合ってきた杉本さんだからこそ感じ取った自然の知恵なんだろうなぁ、とお話を伺いながら感じた。

私はそんな杉本さんに、愚問であることは重々承知でこんな質問をしてみた。
「今まで有機であろうと何かしらの肥料を与えてきたから、突然に肥料を与えるのを止めるのは不安になりませんでしたか?」
すると、杉本さんから、
「収穫量は減るだろうけど、元々こちらの都合で肥料を与え、植物がもたらす自然な量以上のものを得ようとしてきただけで、肥料を与えずに採れる量こそが自然なんだと思ったね。」
その言葉を聞いてハッとした。私自身、湘南に越してきたばかりの時、藤沢のこともファームさんにお世話になり自然栽培での家庭菜園を学んだので、土に力があれば自然栽培は可能だと身をもって実感していた。なのに、肥料を与えることを前提として考えた途端、肥料を無くすのは不安ではないのか?という思考しか出てこなかったのだ。
今あるものがなくなるかもしれない、という考えに囚われる例だと思った。


肥料を与えなければ茶の木は何十年も生きる。
家畜だってそうだ。
全ては人が自分達の為だけに、自然な成長ではなく無理やりに肥やさせて、スピードを早めている。


普段忘れてしまいがちな、とても大切なこと。
杉本園さんの畑で、貴重なお話を聞かせてもらい感謝している。

日々生活をしていると多くのことを取りこぼしてしまうけど、たまに思い出して、できることから取り入れられたら良いと思っている。